女性の能動的衝動

腐女子のホモ好きに関するエントリ「甘いな」というコメントがついた。
レスポンス キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!! これを待ってたんだわw
わざわざサイトを紹介してくれていたので早速読みに行くと、これが期待以上の代物でコーフンしてしまった。判断材料持ってないので片っ端からほうほうと感心していただけなんだけどさw

1)男を「こまし」たいが、女が主導権を握るシチュエーションはイヤだ
2)アリスのままで「不思議の国」に踏み入るのは怖いよ
腐女子の動機 - 続・奥田K子の「麦っ子日記」

詳しくは実際に呼んでもらったほうが良く分かるのだが強引にまとめると、女性だって能動的衝動は持っているが社会的制約等から男対男の関係にずらして昇華させている、ということになるのかな。考察の参考とされているサイトは更に分かりやすい。

やおい少女の頭の中は、どんなに危険で変態なコトで満ちあふれんばかりになっていようと、間違いなく「男」が愛する対象なのです。男の皆さんにはあくまで「ホモ」にしか見えない萎えるシチュエーションも、実は女の子にとっては「ホモ」ではない、・・・画的には男同士でも意識の上では実は「男同士」じゃない、というパラドックスがあるのです。
『女の子』からの反撃

Homosexualityを楽しんでいる訳ではなく、あくまでも自分達はHeterosexualとしての恋愛をシミュレーションしているわけですか。至極まっとうではないですか。結局はフツーの女の子なのね。そして、Homosexualな女の子に腐女子はいないことになる。

女の子だって本当は「ヤル」側にもなりたいのダ。でもそのためには「女の子」という、ピーを持たない限られた現実の姿から解き放たれる必要がある、そのためにはどうしても、ヤッてるキャラは「女のコ(自分たち)」ではなく「男」に置き変わる必要があるのです。
『女の子』からの反撃

やっぱり女の子の方がハンデは大きいんですよ。なぜなら現代日本の性の世界において、女の子の方が圧倒的に「商品」であるから。
腐女子の動機 - 続・奥田K子の「麦っ子日記」

「ピーを持たない」とか「商品」とか言われると、どうしても岸田秀あたりを連想させられてしまうではありませんか。オレは最初フロイトの男根羨望が関係しているのかなぁなんて思っていたのね。

男根を持ちたいというとき、女性はもし男根を持てれば何に使うつもりなのか。母親との性行為に使うつもりなのである。
岸田秀 「ものぐさ箸やすめ」P139「羨望する女」

ここだけ抜き出すと変な感じがするが男根羨望が生じるのは男根期においてであって、別にレズとかの話ではないのだ。

つまり、男をして、本来はやらずにすんだ過重な労働を引き受けさせるために、男の性欲を遮断し、その対象である女の肉体を商品化し、商品価値をもった女の肉体を得るためには、それに見合う価値を生む労働をせざるを得なくしたのである。
岸田秀 「続ものぐさ精神分析」P113「性差別は文化の基盤である」

やはり「商品化」が彼女らの性的心理構造に果てしない影響を与えていることが分かる。それによって必ずしも男だけが一方的に得をしている訳ではないことは上記の本を読めば分かるんだけど、やっばり買う立場のほうが余程気楽だよな。テラカワイソス ・゚・(ノД`;)・゚・ウッウッ

岸田秀はこうも言っている。

女もこれからどんどん女の性的欲望を支えるイメージや物語、すなわち女向けのポルノグラフィーを作ってゆけばいいのではなかろうか。
岸田秀 「ものぐさ箸やすめ」P177「男と女のポルノグラフィー」

つーことで作っちゃった訳か。「『男』『女』に決めつけられてきた恋愛関係のバリエーションの乏しさに対する、女の子からの反撃」ともあるし。大昔にこの個所を読んだときには所謂レディースコミックみたいなものしか想像できなかったのだが、そんなものを遥かに超えた分野を自分たちで作り出してしまったと。つーか、レディコミ以前から「日出づる処の天子」のような「一般作品」の中でもホモっちゃってたが、あれはその嚆矢だったのかな?
ところで、少女漫画の書き手を女性が担う以前には女性が楽しむホモは存在していなかったろうから、その意味で「女性解放」は進んだと思っていいのかね?

ものぐさ箸やすめ―アメリカと日本、男と女を精神分析する (文春文庫)続 ものぐさ精神分析 (中公文庫)