図書館を民営化するとマンガ喫茶になる(かもwwwwww)

図書館の民間委託や公設民営化が進み、他の民営化事業と同様の問題が噴出している。調査によると、民間委託に伴うリストラが急速に進行していることがわかった。
図書館民営化 東京都で年300人がリストラ 中野区ではほとんどの図書館を民間に丸投げ - 人民新聞

タイトルでは「図書館民営化」と言っているくせに中身を見ると「民間委託や公設民営化が進み」と言った有様では何を論じているのか分からない。まず民間委託と民営化を分けて議論することが肝要。前者は公費削減、後者は営利事業の話だろう。

ぶっちゃけ私は利用者にとって使いやすいなら公立公営でも公立民営でも公立で一部民間委託でも、運営形態はなんでもかまわないと思う。
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まったくだ。「使いやすいなら」「なんでもかまわない」。問題は本当な使いやすくなるかだ。

私はふと考えた。私が利用しているこの行政サービスにかかる費用は、当然地域住民の税金でもって賄われているはずだ。だが、中には税金を払いながら図書館など全く利用しない、という人もいるだろう。私もつい数ヶ月前まではそうだった。これは不公平ではないだろうか?
図書館民営化論 - 普通のサラリーマンが,30億円を5年で貯めます.どうやって?

笑止。公共の施設はそれを使う機会が平等に与えられることが重要であって、勝手に利用しなかったからといって「不公平」などには当たらない。

ここまで考えて、ふと思った。図書館は民営化した方がいいのではないか? これは、暴論だろうか。もちろん現在タダで利用している人は、お金がかかるようになるのだから反対するだろうと思う。が、その分多少は税金が安くなるはずだし、より公平性が保たれる。普段利用していない人は、当然ウェルカムだろう。
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そんなに言うなら民営化してみればいい。仮に事業が立ち行かなくなって潰れた地域の住民は、本もろくに読まない知的レベルの低い連中であるとして全国の笑いものになるぞw

図書館というものは、もともと、誰がやってもよいもので、営利でやろうとそれも勝手だ。個人だろうと民間だろうとできる。それでお金もうけをしても悪くはない。もともと規制など存在しない。
図書館の「民営化」という馬鹿馬鹿しさ - ほどよい司書の日記

昔は貸本屋というものが流行っていたと聞く。最近めったにそんなものを見なくなったのはペイしなくなったからというのが真っ先に考えられる原因。要するにニーズの問題だ。さすれば民営化そのものが非常に困難であると推測できる。

成功している「貸本屋」としてはマンガ喫茶の存在があげられる。本の種類が限定されているしその場で閲覧するのみで本を貸し出す訳ではないが、販売をしていないという意味で「貸本屋」の範疇に入れることは可能であろう。つーか、取り敢えずこの場では入れといてくれ、話を進められないからw

漫画喫茶の収益構造についてはよく知らないが、参入者も多く全国に普及していることからして事業として成り立っていることは明らかだ。ニーズが高かったにも拘らず、従来の図書館はマンガを文字よりも価値の低いものと見做して、マンガをあまり取り揃えていなかった。

と言う訳で、民営化した図書館はマンガを積極的に品揃えし、ついでに「萌え〜」とか叫んでいるオタク連中のためにフィギュア等のグッズ販売にも手を広げて繁栄を謳歌するといいw 文学や希少な学術本等はニーズが少ないので廃棄、あるいは古書店へ転売を行って資産の効率化を図るw

かくて、民営化された図書館のうち黒字を確保出来そうにないものは「良書」をしかるべきところへ処分してマンガ喫茶へ転換する、ということにするが、それでよろしいか?

誰もがちょっと待て、という気になるだろう。図書館が見当たらずマンガ喫茶ばかりの町に疑問を覚えない人はあまりいないであろう。外国人に知られたらきっとものすごく恥ずかしいぞw

だからこその公営であった筈なのだ。「民間委託や公設民営化が進」んだとしても、「他の民営化事業」と同じようには論じられない。「知」に関する問題であるからだ。どんな分野でもそうだが、「頭の良い」奴とかその分野に精通している奴はその他に比べて少数であるのは当たり前であるから、営利事業のように多数を優先すると質は落ちてしまう。ここが国鉄の民営化などとは異なるところだ。こんなことは、明治時代あたりに近代化を図った為政者たちの間では当然の、論議するまでもない自明のことであったろうと思うのだ、たぶん。

貸本屋が殆ど見当たらずマンガ喫茶が隆盛しているというだけで強引に民営化は無理という結論へ持っていったのだが、はたして本当にそれが正しいかは知らん。いくらマンガが好きだからといって、その人が本を全く読まないわけではないだろうし。但し、それを営利事業として行うのは相当の困難を伴うと思われるし、実際にもそれをやる人が今のところあまりいないことが証明しているのではないかと思うわけだ。

因みに、図書館には古い本しかなくて新刊を読みたいという欲求に答えていないという意見については、公営である以上民業を圧迫するわけにはいかないという事情もあろうが(その他、図書館が所蔵するに当たって適当であるかの判断に時間を要するとか単に予算の問題など)、これは民営化された場合において、貸しレコード・ビデオ屋のケースが参考となるだろう。

また真のインテリが必要とする書籍の保管を図書館が担当しているという側面については呉知智が「犬儒派だもの」第4章「デモクラシーの原理」で述べている。

犬儒派だもの (双葉文庫)

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